コップに水を入れてストローで吸う。
物理的に10mまでしか吸えません。
どれだけ大きいポンプを持ってきても大気圧(10m)までしか
吸えないってことです。木々は30m以上の高さの木もあります。
木にはポンプは勿論ありません、
水を吸い上げるのは物理的に無理です。
どのようにして根の水を葉っぱに運んでいるんでしょうか。
●葉の役目
植物の細胞は、細胞液という液体で満たされています。
この細胞を包む膜は半透膜といって、水は通しても、
水に溶けた他の物質は通さない性質をもっています。
葉の水分が失われると、
葉の細胞液の濃度は枝や幹よりも高くなります。
そのため、濃度を下げようと浸透圧が働いて
枝や幹から水を引っ張りあげます。
●根の役目
落葉樹は葉が無い(上から水を引っ張りあげられない)
状態のとき、根は土壌中の水分を吸収するために、
細胞内に糖分やナトリウム(Na+)・カリウム(K+)などの物質を
多く取り込みます。
こうして細胞液の濃度を高く保ち、
浸透圧の力で土壌中の水分を引き寄せるのです。
根の付け根や幹、枝、葉へと向かうにつれて細胞液は
どんどん濃くなっていきます。
このように細胞液の濃さを調節することで、
根の先っぽで吸収された水を
上に運び上げることができるのです。
●幹~枝(道管)の役目
根から吸い上げられた水は、
道管と呼ばれる管を通って幹を上ります。
道管は死んだ細胞が縦長につながって空洞になった
細い管(太さ100μm程度)で、
地中の根から葉まで何十mもつながっています。
道管の中は水で満たされて、細い水柱になっています。
このような状態ではとても強い凝集力が働くので、
葉の蒸散で上の方の水を引っ張れば、
何十mもの水柱を上に引っ張りあげることが出来るわけです。
ただ、この水柱に一度空気が入って途切れてしまうと、
凝集力が働かなくなって水を上に運ぶことができなくなります。
浸透圧と凝集力という二つの力を利用して水は上がります。
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