2018年1月30日火曜日

苦界(2018.1)

苦界、苦しみの多い世界。

生死を繰り返して流転するこの世。

人間界。

遊女のつらい境遇、九骸(くがい)から苦界となった。

江戸時代の遊女の苦しい身の上から。

身請けし てもらうか、莫大な借金を返し終えるか、

死ぬかしか遊郭から出ていけなかった

遊女の苦しさを表している。

九(ここのつ)の骸骨(がいこつ)になり始めて出ていける。

そこから派生してこの世のことを苦界という。

確かに生きることは苦しい。

これに反して浄土、

仏や菩薩(ぼさつ)の住む清浄な国土をいう。

石牟礼(いしむれ)道子の小説、【苦海浄土

水俣(みなまた)病の発生した熊本県水俣を中心とする

八代(やつしろ)海で

新日本窒素水俣工場の排水に含まれる有機水銀によって

水俣病の症状、手足がしびれ言語等に障害をきたし、

衰弱、死に至るか、かならず後遺症を残す病。

苦海浄土は造語。

どうしてこの世が苦界となるのか。

人間の損得にかかわる。

損得により人よりいい生活がしたい、

人を押し分けてもの部分に苦が生じる。

じゃあ人間の損得がなくなればいいのかでもない。

損得が無くなれば進歩がなくなる。

相反するが損得と苦はついて回る。

これをなくそうと社会主義が出てきたが

やはり損得で、

やらない人が出てきたことにより社会主義は潰れた。

人間社会は当分、苦界であり続ける。

苦界が【くかい】ではなく【くがい(骸)】と

読まれるところに

この言葉の厄介なところがある。

名言(めいげん)あらず名読(めいどく)。

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