定年間近になると、
問題が出てくることと良いことと両方現れてくる。
走れないから、ゆっくり歩く。
飛べないから、遠回りをする。
登れないから、回り道をする。
記憶が飛ぶから、同じことで何回も確認する。
面倒なことが面倒でなくなる。
その日の仕事は、その日に終わるようになる、
明日がないかもしれないから。
聞こえないふりが自然にできる。
目が悪くなり、虫眼鏡を常用する。
体が硬くなり、狭いところで足が曲がらないから引っかかる。
誰とでも家族のように話ができる。
予想が結構当たる。誰々さんがどこで何をしているか、
何を聞きたいか予想がつく。
遠回りが苦にならない。
効率を求めなくなる。
追い越されても腹が立たない、道はどんどん譲れる。
並んで待つのは苦にならない、何時間でも。
食堂でゴキブリが入っていても、摘まんで出してあと食べられる。
食べ物はとにかくまずくても、腐っている以外は食べてしまう。
神経がぼけるのか、フィルターに火をつけても吸ってしまう。
鼻がボケるから浄化槽の中でも大丈夫、飯が食える。
ビールよりジュースより、水がうまい。
あっいま血管が詰まったというのがわかる、しびれるから。
釘を踏んでもあまり痛くない。
傷が膿まない、膿んだらカッターで切って終わり。
懸垂ができない。
腹筋運動ができない。
45℃の風呂でも入れる。
疲れても延々と作業ができる、急な作業は無理。
50キログラムの荷物は、5キロずつ運べる、回数は平気。
根気のいる仕事でも放らない。
良いような悪いような。
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