2016年11月1日火曜日

入む(2016.11)

閑(しずけさや)や岩にしみ入る蝉の声。

松尾芭蕉の句です。

⇒閑や岩に染み入る蝉の声。

夕されば野べの秋風身にしみて鶉鳴くなり深草の里

藤原俊成『千載集』の句です。

夕されば野べの秋風身に入みて鶉鳴くなり深草の里

もう少し短く。

岩にしみ入る⇒岩に染み入る。

秋風身にしみて秋風身に入みて

おなじ【しみ】でも

染み】と【入み】。

しみが物だと染み】、しみが者だと【入み】。

主人公が従か主かで字が変わる。

日本語の繊細さがよくわかる言葉です。

閑(しずけさや)や岩にしみ入る蝉の声。

が、

閑(しずけさや)や身にしみ入る蝉の声。

であれば

閑や身にみ入る蝉の声。

となる。

身にみ入るでは6語だから句にならんやんか。

確かに。

我身にみ入るでどうやろう。

我身をわみと読む。

やっぱり

閑や岩にしみ入る蝉の声やな。

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