昔むかし西浜村のお話です。
ひとり暮らしの名もない若者が一人でひっそりと
暮らしていた。
若者は小さな畑と田んぼで生計を立てていた。
貧しかった、食うや食わず。
今日は夕ご飯のおかずに釣りに行こう。
竹竿を持ち近くの磯に行きぼんやりと釣ること1時間、
大きな50cmの鯛が釣れた。
意気揚々と家に帰り夕ご飯はご馳走。
普段食べたことのない刺身と焼き魚お腹も膨れたし、
大満足で寝床に入った。
その夜のこと、真夜中の丑三つ時。
台所で音がする。
夕方食べた鯛の取った鱗がゴミ箱から次々と動き出し
若者の寝ている部屋の障子・フスマ・天井に
張り付いたところ、
鱗が一斉に眼になりジッと若者を見つめる。
妖怪、千の眼。
若者は恐れず大急ぎで眼を集めるとたちまち
眼が宝石となった。
街の宝石屋に売りに行き大金持ちになり、
幸せに暮しました。
これが村に伝わる千の眼のお話です。
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